「配当控除」と「住宅ローン控除」について、FP2級の試験に出る重要なポイントを解説します。特に、住宅ローン控除は毎年試験で必ず出題される重要な項目です。本記事では、配当控除と住宅ローン控除の試験対策に必須のポイントを紹介します。
住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)
住宅ローン控除の適用要件
住宅要件 | 新築の場合:床面積50平米以上で、1/2以上が自己居住用であること 中古の場合:新耐震基準適合住宅であること(築年数は問わない) |
住宅ローン要件 | 金融機関等からの借入で償還期間が10年以上 |
居住要件 | 住宅取得の日から6ヶ月以内に居住を開始し、控除を受ける年の12月31日まで引き続き居住していること |
所得要件 | 控除を受ける年の合計所得金額が2,000万円以下 |
申告要件 | 確定申告を行っている。※給与所得者は翌年以降は年末調整で控除可能 |
適用要件は、割と頻繁に変更されるので、いつの法令が試験対象になるのか、確認必要です。
住宅ローン控除の控除額
- 新築住宅:13年
- その他:10年
- 控除額:住宅ローンの残高の 0.7% 分を税額から控除できる
細かいルールがありますが、上記が最低限覚えればよい数字です
住宅ローン控除のその他ポイント
- 家屋とともに土地を取得した場合は、土地の借入金も対象(土地だけだとダメ)
- 繰り上げ返済により、償還期間が短くなっても10年分は対象。10年未満となる場合は控除を受けられません。
- 転勤等のやむを得ない事情で転居して、居住しなくなった転居の間は、控除を受けられません。
→再入居して控除期間が残っていれば、再入居した年以降は適用可能 - 所有者が単身赴任で転居し、配偶者など親族が引き続き居住すれば控除適用可能
- 所得税から控除しきれなかった額は翌年の住民税から控除可能
配当控除
法人税と所得税の二重課税を緩和するためのルール
適用要件
・確定申告において総合課税の適用を受けた配当所得がある場合
・以下例外(適用不可)
・申告分離課税や申告不要を選択していた場合
・不動産投資信託(J-REIT)から受け取る収益配当金(法人ではないため)
・NISA口座による受取配当金、収益分配金
・外国法人(外国株式)から受け取る配当金
控除額
配当所得の10%(課税総所得の1000万までは、10%、1000万を超える部分は5%)
どのあたりが二重課税か、ピンと来ないかもしれません、事例で説明します。
1.法人レベルの課税
ある会社Aが100万円の利益を上げました。
この利益に対して法人税(例えば30%)が課されます。
つまり、会社Aは30万円を法人税として支払い、残りの70万円を配当として株主に分配します。
2.個人レベルの課税
会社Aの株主であるあなたが、この70万円の配当を受け取ります。
配当に対しても所得税がかかります(例えば、所得税率が20%とします)。
そのため、あなたは70万円の20%である14万円を所得税として支払います。
なぜ二重課税か
まず、会社Aの利益100万円に対して法人税30万円が課されました。これは法人レベルの課税です。
次に、残りの70万円の配当を受け取ったあなたに対しても所得税14万円が課されました。これは個人レベルの課税です。
このように、同じ利益100万円に対して法人レベルと個人レベルの2回課税されることになります。これが二重課税です。
過去問
所得税における住宅借入金等特別控除(以下「住宅ローン控除」という)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、2022年4月に住宅ローンを利用して住宅を取得し、同月中にその住宅を居住の用に供したものとする。
1.住宅ローン控除の対象となる家屋は、納税者がもっぱら居住の用に供する家屋に限られ、店舗併用住宅は対象とならない。
2.住宅を新築した場合の住宅ローン控除の控除額の計算上、借入金等の年末残高に乗じる控除率は、0.7%である。
3.住宅ローン控除の適用を受けようとする場合、納税者のその年分の合計所得金額は3,000万円以下でなければならない。日本 FP 協会 2級ファイナンシャル・プランニング技能検定学科試験 22年9月
4.住宅ローン控除の適用を受けていた者が、転勤等のやむを得ない事由により転居したため、取得した住宅を居住の用に供しなくなった場合、翌年以降に再び当該住宅をその者の居住の用に供したとしても、再入居した年以降、住宅ローン控除の適用を受けることはできない。
最も「○適切」な選択肢を選ぶ問題
- 1/2以上が居住用であれば適用対象なので、「×不適切」
- 住宅ローンの借入金残高の0.7%なので、「○適切」です。
- 所得要件は、2,000万円以下ですので、「×不適切」です。
- 転勤から帰任して、再び居住した場合で、控除期間(13年か10年)が残っていれば控除対象になるので、適用を受けられます。したがって「×不適切」です。
所得税における住宅借入金等特別控除(以下「住宅ローン控除」という)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、記載されたもの以外の要件はすべて満たしているものとする。
1.中古住宅を取得した場合でも、取得した日以前一定期間内に建築されたもの、または一定の耐震基準に適合するものは、住宅ローン控除の適用を受けることができる。
2.住宅ローン控除の適用を受けていた者が、転勤等のやむを得ない事由により転居したため、取得した住宅を居住の用に供しなくなった場合、翌年以降に再び当該住宅を居住の用に供すれば、原則として再入居した年以降の控除期間内については住宅ローン控除の適用を受けることができる。
3.住宅ローン控除の適用を受けていた者が、住宅ローンの一部繰上げ返済を行い、住宅ローンの償還期間が当初の借入れの日から10年未満となった場合であっても、残りの控除期間について、住宅ローン控除の適用を受けることができる。
4.住宅ローン控除の適用を受ける最初の年分は、必要事項を記載した確定申告書に一定の書類を添付し、納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
日本 FP 協会 2級ファイナンシャル・プランニング技能検定学科試験 19年1月
最も「×不適切」な選択肢を選ぶ問題
- 中古の場合:新耐震基準適合住宅であるならば、対象となりますので、「○適切」です。
- 帰任して、控除期間があれば控除を受けられますので、「○適切」です。
- 繰り上げ返済後、償還期間が10年未満になった場合は、控除を受けられませんので、「×不適切」です。
- 原則は、確定申告が必要ですので、「○適切」です。
今回は、ここまでです。
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