【3分で解説!FP2級】リスク管理〜損害保険の基本と火災保険・地震保険

ファイナンシャルプランナー2級

損害保険は、日常生活で起こる様々なリスクから私たちを守ってくれます。今回は、損害保険の基本と、特に重要な火災保険と地震保険について解説します。

損害保険の基本

保険用語の整理

さまざまな保険用語がありますが、重要用語は以下の通りです。

用語説明
保険価額保険の対象物の価格
保険金額保険契約で設定された上限金額
保険金実際に支払われる金額

例えば、500万円の車に対して300万円の保険をかけた場合、保険金額は300万円となります。

保険料の決定方法

保険料は以下の原則で決定されます。

原則説明
給付・反対給付均等の原則(レクシスの原則)保険金額 × 発生率で計算
利得禁止の原則損失額以上の保険金は支払われない

保険は損失を補填するものであり、利益を得る目的で加入するものではありません。

火災保険の詳細

火災保険は建物や家財を火災などのリスクから守る保険です。

補償対象

火災保険は火災だけでなく、落雷や台風による被害や盗難なども契約次第で、補償対象になります。

  • 火災、破裂、爆発
  • 落雷、風災、雹災、雪災
  • 水害(水災)
  • 建築外部からの落下、飛来、衝突
  • 盗難

地震、噴火、津波は、火災保険では補償されません(地震保険特約で補償)。

保険の種類

火災保険には主に2種類があります。様々な補償対象がありますが、いずれの場合でも地震や津波への補償はありません(地震保険でカバーする範囲)。

種類補償内容
住宅火災保険火災、落雷、風災、雹災、雪災
住宅総合保険上記に加え、水害、落下物、飛来、衝突、盗難

また、火災保険では、1個または1組の価額が30万円を超えるものを事前申告することで補償対象に加えることができます

保険料は、対象となる住宅用建物の所在地や構造(M構造〜コンクリート造のマンション、T構造、H構造)によって算定します。

保険金の算定方法

  • 保険金額が保険価額の80%以上
    →実損てん補(実際の損害額が支払われる)
  • 保険金額が保険価額の80%未満
    →比例てん補(以下の式で保険金が算出されます)
     支払保険金 = 損害額 × (保険金額 / 保険価額 × 80%)

火災保険金額のうち、一部が支払われた場合でも契約は継続され次の事故が発生しても当初と変わらない補償を受けられますが、一定額を超える支払いがあった場合には、契約は終了します。

失火責任法

失火責任法では、軽過失による火災で隣家に損害を与えた場合、損害賠償責任を負わないとされています。ただし、重大な過失がある場合や故意に火災を起こした場合はこの限りではありません。

逆に言うと、もらい火事は、相手から補償はされないので、自分で火災保険に入るのが重要ということですね

地震保険の詳細

地震保険は火災保険とセットで加入する必要があります。単独での加入はできません。

補償対象

対象補償の有無
居住用建物
家財
高額な美術品等(30万円以上)× (火災保険と対称的に補償されません)

保険料の決定

保険料は建物の構造と所在地によって決まります。
→例えば地震リスクの低い北海道は安く、東京都は高いなど。

また、以下の割引制度もあります。重複割引は不可です。

  • 免震建築物割引 50%
  • 耐震診断割引 10%
  • 耐震等級割引 1/2/3とあり、10〜50%
  • 建築年割引 10%

保険金の支払い

地震保険の保険金額は火災保険の30%~50%の範囲で設定されます。最大支払い額は建物で5,000万円、家財で1,000万円です。

例えば、1200万円の火災保険に入っているとしたら地震保険は、30%=360万円を下限として、最大50%=600万円まで加入できます。

被害程度(4段階)保険金額の支払い率
全損100%
大半損60%
小半損30%
一部損5%

【参考動画】【FP解説】損害保険スタート!理屈でわかる火災保険や地震保険&ゴロ合わせ【完全B11】

過去問

住宅用建物および家財を保険の対象とする火災保険の一般的な商品性に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、特約については考慮しないものとする。

1.火災保険の保険料は、対象となる住宅用建物の構造により、M構造、T構造、H構造の3つに区分されて算定される。

2. 保険金額が2,000万円(保険価額と同額)の火災保険に加入した後、火災により住宅用建物が損害を被り、損害保険金1,000万円が支払われた場合、保険契約は継続するが、保険期間満了日までの保険金額が1,000万円に減額される。

3.火災保険では、隣家の火災の消火活動により住宅用建物に収容されている家財が損壊した場合、補償の対象となる。

4.火災保険では、雪災により住宅用建物の屋根が損壊して100万円の損害が発生した場合、補償の対象となる。

日本 FP 協会 2級ファイナンシャル・プランニング技能検定学科試験 22年9月

最も「×不適切」な選択肢を選ぶ問題

  1. M構造→コンクリート造のマンション、T構造→コンクリート造の一戸建て、H構造→木造の一戸建てのような区分がされます。「○適切」です。
  2. 火災保険は、当初契約が継続するのが原則なので、「×不適切」です。
  3. 失火責任法により、火災により近隣の火災の分は責任を負いません。自身の火災保険で、もらい火事は補償されますので「○適切」です。
  4. 雪災も、火災保険で補償されますので「○適切」です。

地震保険に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

1.地震保険は、火災保険の加入時に付帯する必要があり、火災保険の保険期間の中途では付帯することはできない。

2.地震保険には、「建築年割引」「耐震等級割引」「免震建築物割引」「耐震診断割引」の4種類の保険料割引制度があり、重複して適用を受けることができる。

3.地震保険では、地震が発生した日の翌日から10日以上経過した後に生じた損害は、補償の対象とならない。

4.地震保険では、保険の対象である居住用建物が大半損に該当する損害を受けた場合、保険金額の75%を限度(時価額の75%を限度)として保険金が支払われる。

日本 FP 協会 2級ファイナンシャル・プランニング技能検定学科試験 20年1月

最も「○適切」な選択肢を選ぶ問題。この問題は消去法でいくのが良さそうです。

  1. 地震保険は、あとから追加契約することができるので、「×不適切」です。
  2. 地震保険は、重複した割引はできないので、「×不適切」です。
  3. 消去法で、「○適切」です。
  4. 地震保険の、大半損では、60%までの保険金が支払われるので、「×不適切」です。

今回は、ここまでです。

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