建築基準法の接道義務と建ぺい率は、家を建てる際に必ず理解しておかなければならない重要なポイントです。本記事では、道路に関する制限、接道義務、建ぺい率の基本的な考え方と計算方法についてポイントを解説します。
道路に関する制限
道路の定義と必要条件
建築基準法における道路は、一般的に幅員が4m以上である必要があります。これは、一般的な自動車の幅が2m以内であることから、すれ違いが可能な幅を確保するためです。ただし、4m未満の道路でも、市区町村の市長が指定したものは「2項道路」として扱われ、建築が可能です。2項道路は将来的には4m以上に拡幅する計画があります。
接道義務
家を建てる際には、その敷地が道路に2m以上接している必要があります。これは、消防車などの緊急車両が進入できるようにするためです。旗竿地(狭い入口から広がる敷地)のような形状の場合でも、2m以上の接道が求められます。
セットバック
道路幅が4m未満の場合、新たに建物を建てる際にはセットバック(道路境界線から後退させること)が必要です。道路の中心線から2m後退することで、将来的に道路を4mに拡幅するためのスペースを確保します。
建ぺい率
建ぺい率とは
建ぺい率は、敷地面積に対する建築面積の割合を示します。たとえば、敷地面積が200㎡で建ぺい率が60%の場合、建築面積は120㎡まで許容されます。建ぺい率の目的は、防災や住環境の向上を図るためです。
建ぺい率の計算方法
建ぺい率は、以下の計算式で求められます。
建ぺい率 = 敷地面積 × 指定建ぺい率
緩和措置
特定の条件下では建ぺい率が緩和されることがあります。防火地域内で耐火建築物を建てる場合や、角地である場合などが該当します。これにより、建ぺい率の上限が引き上げられます。
まとめ表: 建ぺい率と緩和措置
条件 | 建ぺい率の上限 | 説明 |
---|---|---|
通常 | 地域ごとに異なる | 各地域の都市計画に基づき設定 |
緩和1 建ぺい率の上限が80%以下の地域で防火地域・耐火建築物 準防火地域・(準)耐火建築物 | +10% | 火災に強い建物は建ぺい率が緩和される |
緩和2 角地 | +10% | 隣接する家が少ないため、建ぺい率が緩和される |
特例 建ぺい率の上限80%の防火地域に耐火建築物 | 100% | 防火地域で耐火建築物を建てる場合、建ぺい率が100%まで可能 |
緩和1と緩和2は併用可能です。
実際の計算問題
計算ステップ
- セットバックの確認
- 緩和措置の確認
- 各用途地域ごとに敷地面積と指定建ぺい率を掛け合わせて合計
過去問
建築基準法に従い、下記<資料>の甲土地に建物を建てる場合の建築面積の最高限度として、正しいものはどれか。なお、<資料>に記載のない条件については一切考慮しないこととする。
<資料>
・第一種住居地域
・建蔽率6/10
・容積率15/10
・前面道路の幅員に対する法定乗数4/10※甲土地・乙土地が面する道路は建築基準法第42条第2項に該当する道路で、甲土地・乙土地はともにセットバックを要する。また、道路中心線は現況道路の中心に位置するものとする。なお、特定行政庁が指定する幅員6m指定区域ではない。
1. 73.6㎡
2. 105.6㎡
3. 110.4㎡
4.115.2㎡
日本 FP 協会 2級ファイナンシャル・プランニング技能検定 実技(資産設計提案業務)20年1月
実技の問題です。
ステップごとに整理しましょう。
- セットバックの確認
幅員3メートルの市道に接しています。4メートルに満たないのでセットバックがありそうです。中心線からは、1.5メートルです。2メートルにするには、0.5メートルセットバックを考慮する必要があります。結果として、この土地の面積は 11.5 × 16 = 184㎡ となります。 - 緩和措置の確認
防火地域や耐火建築物と言ってキーワードは問題文に出てこないので、緩和措置はありません。 - 各用途地域ごとに敷地面積と指定建ぺい率を掛け合わせて合計
甲土地の建ぺい率を求めよということです。
184㎡ × 6/10(建蔽率) = 110.4㎡ (3)が正解
今回は、ここまでです。
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