FP2級試験で頻出の容積率計算と農地法について詳しく解説します。特に建築基準法に基づく容積率の計算方法や、農地法の基本的な理解を深めるためのポイントを中心に取り上げます。これらの知識を押さえることで、試験で確実に点数を取ることができますので、ぜひ最後までお読みください。
容積率とは?
容積率(ようせきりつ)は、敷地面積に対して建物の延べ床面積が占める割合を示すものです。延べ床面積とは、建物の各階の床面積の合計です。例えば、2階建ての建物で各階の床面積が100平方メートルの場合、延べ床面積は200平方メートルとなります。
容積率の計算方法は以下の通りです:
容積率 = (延べ床面積/敷地面積) × 100
例えば、敷地面積が200平方メートルで、延べ床面積が400平方メートルの場合、容積率は200%になります。
延べ面積の最高限度の計算方法:
延べ面積の上限(㎡) = 敷地面積(㎡) × 指定容積率(%)
容積率制限の目的
容積率は、都市計画によって地域ごとに定められており、その主な目的は以下の通りです:
- 交通の円滑化:高い容積率の建物が密集すると、交通渋滞が発生しやすくなります。
- 日照や通風の確保:高層建築物が立ち並ぶと、周囲の建物や住民の日照や風通しが悪くなります。
これらの理由から、各自治体は用途地域ごとに容積率の上限を定め、建物の高さや規模をコントロールしています。
容積率の制限
建物の全面道路の幅員が12m未満の場合には制限があります。
- 住宅系用途地域:道路幅員(m) × 40%
- その他の用途地域:道路幅員(m) × 60%
指定容積率を比較し、小さい方の容積率に制限がかかる。
延べ床面積の計算3ステップ
延べ床面積の計算は、以下の3ステップで行います:
1.セットバックの確認
- セットバックが必要な場合、その面積を敷地面積から差し引きます。
2.制限容積率の計算
- 自治体が定める指定容積率と、前面道路の幅員による容積率制限を計算し、より厳しい方を採用します。
- 道路幅員による制限容積率の計算方法:
- 前面道路幅員が12m未満の場合
- 住宅系:道路幅員(m) × 40%
- その他:道路幅員(m) × 60%
3.延べ床面積の算出
- 制限容積率を敷地面積にかけて、最大延べ床面積を算出します。
具体例として、以下のような条件を考えてみましょう:
項目 | 数値 |
---|---|
敷地面積 | 100平方メートル |
指定容積率 | 200% |
前面道路の幅員 | 4メートル |
道路制限による容積率 | 前面道路幅員(4m)× 40% = 160% |
この場合、指定容積率200%と道路制限による容積率160%のうち、より厳しい制限を適用します。したがって、この敷地に建てられる建物の最大容積率は160%になります。
防火規制
防火規制は、建物の防火性能を高め、火災の拡大を防ぐための規制です。以下に主要な防火規制について解説します。
防火地域と準防火地域
- 防火地域:特に火災の危険性が高い地域で、建物は耐火建築物とする必要があります。
- 準防火地域:防火地域ほどではないが、火災の危険性がある地域で、建物は一定の防火性能を持つ必要があります。
建築物が防火規制の異なる2つの区域にかかる場合は、規制の厳しい方が適用される。
農地法の概要
農地法は、農地の保護と利用を適正に行うための法律です。特に、農地を農地のまま売買する場合や、農地を宅地などに転用する場合に適用される規制が重要です。
農地法の目的
農地法の主な目的は、以下の通りです:
- 農地の保護:農地を宅地や商業地に転用することを制限し、食料自給率の維持を図ります。
- 農地の適正な利用:農地の売買や転用が適正に行われるように規制します。
農地法の条文と適用例
農地法には大きく分けて3つの条文があります:
- 第3条:農地を農地のまま売買する場合に適用されます。
- 第4条:農地を宅地などに転用する場合に適用されます。
- 第5条:農地を宅地などに転用する目的で売買する場合に適用されます。
例えば、山田さんが持っている農地を鈴木さんに売る場合、第3条が適用され、農業委員会の許可が必要です。一方、農地を宅地に転用する場合は、第4条または第5条が適用され、都道府県知事の許可が必要です。
市街化区域内の農地
市街化区域内にある農地を転用する場合、農業委員会への届出だけで都道府県知事の許可は不要です。この規定は、市街化区域が都市計画上、開発が促進されるべきエリアであるためです。
過去問
建築基準法に従い、下記<資料>の土地に耐火建築物を建てる場合、建築面積の最高限度(ア)と延べ面積(床面積の合計)の最高限度(イ)の組み合わせとして、正しいものはどれか。なお、<資料>に記載のない条件については一切考慮しないこと。
<資料>
1.(ア)108㎡ (イ)360㎡
2.(ア)126㎡ (イ)360㎡
3.(ア)108㎡ (イ)288㎡
4.(ア)126㎡ (イ)288㎡
日本 FP 協会 2級ファイナンシャル・プランニング技能検定 実技(資産設計提案業務)20年9月
実技試験です。
建築面積の最高限度を求めます。
- セットバックは4mの市道に接していて、クリアできていますので、ありません。
- 建築率の緩和について、問題文に「耐火建築物を建てる」とあり、資料に防火地域とありますので、10%の緩和があります。ですので建蔽率は60%に10%アップで、70%となります。
- 計算:180㎡×70%=126㎡まで建築面積が許容されます。
延べ面積の最高限度を求めます。
- セットバックは、建築面積同様になし。
- 容積率の制限を考えます。第二種住居地域、12m未満の道路に接している(4m)、制限40%
4m×40% = 160% が制限された容積率で、指定容積率の20/10(200%)と比較して小さい方を採用すると160% - 計算:180㎡×160%=288㎡
建築面積の最大は、126㎡で、延べ面積の最大は、288㎡ となり、4が正解。
今回は、ここまでです。
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