【3分で解説!FP2級】不動産~不動産登記、対抗力、公信力とは?

ファイナンシャルプランナー2級

不動産分野の中でも「不動産登記」について解説していきます。不動産登記は不動産取引において重要な役割を果たしますが、仕組みや中身について、試験に出ますので、覚えましょう。

不動産登記とは?

不動産登記とは、土地や建物に関する情報を法務局に記録することを指します。この情報には、所在地、面積、構造、所有権などが含まれます。法務局は国の機関であり、市町村の窓口では行えません。不動産登記は、土地や建物ごとに一筆で記載され、これを登記記録と呼びます。

不動産登記の構成

不動産登記は大きく「表題部」と「権利部」に分かれます。

表題部

表題部には不動産の基本的な仕様(所在地、面積、構造など)が記載されます。新築から1ヶ月以内に登記する義務があり、これは無料で行えます。

権利部

権利部には所有権の情報が記載され、これは任意で行いますが、有料です。権利部はさらに「甲区」と「乙区」に分かれ、甲区には所有権の保存、移転、差し押さえの情報が、乙区には抵当権や賃借権などの情報が記載されます。

権利部:甲区 所有権に関する事項:所有権の保存、移転、差し押さえ等の情報
権利部:乙区 所有権以外に関する事項:抵当権、貸借権等

不動産登記の重要性

不動産登記には大きなメリットがあります。それは、第三者に対する権利の主張ができることです。例えば、家を購入した際に登記を行わないと、他の人が同じ家を購入して登記した場合、その人が優先されてしまいます。これを対抗力と呼びます。

仮登記

仮登記は本登記の前に一時的に権利を保全するためのもので、名札シールのようなイメージです。仮登記には対抗力はありませんが、先に来た人を示すために有効です。

登記がなくても第三者に対抗できるケース

  1. 借りている土地に建物を建てた場合
    借地上に借地権者が、自己を所有者として登記した建物を所有していれば、借地権に関する登記がなくても第三者に対抗できます。
  2. 賃貸物件の引き渡しを受けた場合
    建物の賃借人が建物の引き渡し(鍵の引き渡しなど)を受けていれば、借家権の登記がなくても第三者に対抗できます。

不動産登記の公信力について

不動産登記には対抗力はあるものの、公信力はありません。対抗力とは、自分の権利を第三者に対して主張できる力を指しますが、公信力とは、登記された情報が真実であると信じた第三者を保護する力のことを指します。

例えば、登記記録上の所有者Aさんが実際には所有していない場合、第三者のBさんがその登記を信じて取引を行ったとしても、Bさんは法的に保護されません。つまり、不動産登記は、その内容が必ずしも真実であることを保証しないため、取引の際には実際の権利関係を慎重に確認する必要があります。

不動産登記の申請方法

不動産登記の申請は、購入者(登記権利者)と売主(登記義務者)が共同で行います。相続や法人の合併の場合は単独でも申請可能です。申請は法務局で行いますが、オンライン申請も可能です。ただし、当期識別情報(パスワード)の受け取りは窓口か郵送で行います。

登記記録の交付

登記記録は誰でも申請でき、オンラインでの請求が可能です。ただし、受け取りは窓口か郵送で行います。これにより、全国のどの建物の情報も調べることができます。

過去問

不動産の登記や調査に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

1.不動産の登記記録において、土地の所有者とその土地上の建物の所有者が異なる場合は、その土地の登記記録に借地権設定の登記がなくても、借地権が設定されていることがある。

2.公図(旧土地台帳附属地図)は、登記所に備え付けられており、対象とする土地の位置関係等を確認する資料として有用である。

3.登記の目的が抵当権の設定である場合、不動産の登記記録の権利部乙区に、債権額や抵当権者の氏名または名称などが記載される。

4.不動産登記には公信力があるため、登記記録を確認し、その登記記録の内容が真実であると信じて取引した場合には、その登記記録の内容が真実と異なっていても法的な保護を受けることができる。

日本 FP 協会 2級ファイナンシャル・プランニング技能検定学科試験 20年9月

最も「×不適切」な選択肢を選ぶ問題

  1. 借地権者は、借地権の登記がなくても、その土地に自分名義で登記された建物を所有していれば、第三者に対抗できます。ですので「○適切」です。
  2. 公図は、登記所に備え付けられております。「○適切」です。
  3. 抵当権は、権利部の乙区に記載されます、「○適切」です。
  4. 不動産登記には公信力はありません(対抗力はあります)。したがって、登記内容が真実であるとして取引した場合に、真実と異なっていたとしても法的には保護されません。問題文は「保護を受ける」とあるので、「×不適切」です。

今回は、ここまでです。

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