外貨建て金融商品は、FP2級試験でも頻出の分野です。特に実技試験では計算問題が出題されるため、基本的な仕組みを理解し、重要なポイントを押さえておくことが大切です。本記事では、試験に出やすい外貨建て金融商品の特徴や注意点をまとめます。
1. 外貨建て金融商品とは?
外貨建て金融商品とは、日本円ではなく外国通貨(ドル、ユーロなど)で運用される金融商品のことを指します。代表的なものには以下のようなものがあります。
- 外貨預金
- 外国債券(外債)
- 外貨建て投資信託(外貨MMF)
- 外国為替証拠金取引(FX)
外貨建て金融商品のメリットとデメリットを整理すると、以下のようになります。
メリット | デメリット |
---|---|
日本の低金利に比べて、高い利回りが期待できる | 為替レートの変動により、元本割れのリスクがある(為替リスク) |
円安時に資産価値が上がる | 両替手数料や取引手数料がかかる |
資産分散(リスクヘッジ)として有効 | 預金保険制度の対象外(銀行破綻時の保証なし) |
2. 為替レートの基本(TTS・TTB・TTM)
外貨取引を行う際には、為替レートが重要です。特に、TTS(Telegraphic Transfer Selling rate)とTTB(Telegraphic Transfer Buying rate)の違いを理解しておきましょう。
- TTS(銀行の売値):円を外貨に両替するときのレート(円→外貨)
- TTB(銀行の買値):外貨を円に両替するときのレート(外貨→円)
- TTM(仲値):TTSとTTBの中間レート(基準レート)
TTSとTTBの覚え方
- TTS(SellのS) → 銀行が外貨を「売る」
- TTB(BuyのB) → 銀行が外貨を「買う」
例えば、100ドルを円に換算する場合:
- TTS:1ドル=110円 → 100ドルを買うために11,000円必要
- TTB:1ドル=108円 → 100ドルを円に戻すと10,800円
このように、円に戻す際のレート(TTB)の方が低いため、為替手数料の影響で損失が発生しやすいことに注意が必要です。
3. 主要な外貨建て金融商品の特徴
① 外貨預金
- 特徴:外国通貨で預ける預金。普通預金と定期預金がある。
- 金利:日本の預金より高金利のことが多い。
- 注意点:
- 預金保険制度の対象外
- 為替レートの変動によるリスク
- 利子は利子所得として源泉分離課税(20.315%)
- 為替差益は雑所得(総合課税 or 申告分離課税)
- 為替差損は損益通算できない
② 外国債券(外債)
- 特徴:外国政府や企業が発行する債券(国債、社債など)。
- 主な種類:
- ショーグン債(全て外貨で取引)
- サムライ債(全て円で取引)
- デュアルカレンシー債(利払いと償還の通貨が異なる)
種類 | 払い込み | 利払い | 償還 |
---|---|---|---|
ショーグン債 | 外貨 | 外貨 | 外貨 |
サムライ債 | 円 | 円 | 円 |
デュアルカレンシー債 | 円 | 円 | 外貨 |
リバースデュアルカレンシー債 | 円 | 外貨 | 円 |
注意点:
- 為替リスクがある
- 債券の信用リスク(発行体の破綻リスク)
- 利回りが高い債券ほどリスクも高い(例:新興国債券)
③ 外貨建て投資信託(外貨MMF)
- 特徴:外国の短期金融資産で運用される投資信託。
- メリット:
- 外貨建てで運用されるため、利回りが高い
- 売買手数料が不要
- デメリット:
- 為替リスクがある
- 元本保証がない
④ 外国為替証拠金取引(FX)
- 特徴:証拠金(担保)を預け、通貨の売買を行う投資。
- メリット:
- レバレッジ(少額資金で大きな取引が可能)
- スワップポイント(金利差による利益)
- デメリット:
- レバレッジによるリスク(最大25倍)
- 損失が大きくなりやすい
- 短期間で大きな変動が起こる可能性がある
まとめ
外貨建て金融商品は、利回りの高さや資産分散のメリットがありますが、為替リスクや手数料の影響を受けやすい点に注意が必要です。特にFP2級試験では、TTS・TTBの計算問題や外債の種類について出題されるため、基本をしっかり押さえておきましょう。
【重要ポイントのおさらい】
✅ TTS(銀行が外貨を売るレート)とTTB(銀行が外貨を買うレート)を理解する
✅ 外貨預金・外国債券・外貨MMF・FXの特徴を押さえる
試験対策として、過去問を繰り返し解きながら知識を定着させていきましょう!
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