ファイナンシャルプランナー(FP)2級試験の勉強に役立つ、「金融資産を守る仕組み」に関するポイントを簡潔にまとめました。本記事では、試験によく出る内容を中心に解説します。
預金保険制度
預金保険制度は、金融機関が破綻した場合に預金者の資産を保護する仕組みです。この制度は、預金者が安心してお金を預けられるよう設けられています。
預金保険制度で保護される金融商品
保護対象となる預金:
- 普通預金
- 定期預金
- 元本補填のある金銭信託
- 決済用預金(無利息、要求払い、決済サービスを満たす口座)
→ 全額保護の対象
決済用預金とは、当座預金やゆうちょ銀行の振替貯金のことです
保護対象外の預金:
- 外貨預金
- 元本補填のない金融商品
補償範囲
- 通常の預金: 預金者1人あたり、1金融機関につき元本とその利息を含めて1,000万円まで補償
- 決済用預金: 全額補償
注意点:
- 預金は金融機関ごとに管理されるため、同じ金融機関内で複数口座を持っていても合算されます。
- 別の金融機関に預けることで、1,000万円の保護枠を広げることが可能です。
名寄せ(取りまとめ)の仕組み:
- 法人名義の口座は別扱いとなります。
- 預金は預金者ごとに取りまとめられます。
- 個人事業主で、個人名義と事業用預金は合算される。
日本投資者保護基金
証券会社が破綻した場合、投資家の資産を保護する仕組みです。証券会社は、投資家から預かっている現金や証券などの金融資産を自社の資産とは別に管理することが義務づけられています。これを分別管理といいます。仮に分別管理義務を怠っていた場合、投資家の損失を補償するのが日本投資者保護基金です。
対象資産:証券会社に預けた資産(現金・有価証券)
保護内容:投資家1人あたり1証券会社につき、最大1,000万円まで
注意点: 銀行の窓口で販売される商品には、日本投資者保護基金の保護が適用されません。証券会社で購入することで保護が適用されます。
金融サービス提供法
金融商品販売や勧誘時に投資家を保護する法律です。
対象:個人および法人(機関投資家を除く)
義務:
- 重要事項(価格変動リスク、元本保証の有無など)の説明
- 断定的判断の提供禁止(例:「絶対儲かる」などの発言は禁止)
違反時の対応:投資家が損失を被った場合、販売業者に損害賠償責任が発生
消費者契約法
消費者を守るための法律で、金融商品だけでなく一般的な契約にも適用されます。
ポイント:
- 誤解を招く説明や威圧的な勧誘があった場合、契約の取り消しが可能
- 消費者の利益を著しく害する条項(例:返品不可など)は無効
金融サービス提供法と消費者契約法の両方が適用できる場合は、両方を適用することができます
金融サービス提供法で違反がある場合は、損害賠償責任が発生し、消費者契約法での違反があった場合は、契約の取消しができます。それぞれの違いは、要注意です
金融商品取引法
金融商品の取引において、投資家を保護するための制度です。
適用範囲:
- 一般投資家と特定投資家で異なる規制を適用(投資のプロと、アマチュアで規制の内容が異なる)
義務:
- 適合性の原則(顧客の知識や経験に応じた適切な提案)
- 書面交付義務(重要事項の記載された書面を交付)
金融ADR制度
金融機関と利用者間のトラブル解決を迅速に行う制度です。
特徴:
- 第三者機関が仲裁に入り解決を図る
- 利用手数料は原則無料
犯罪収益移転防止法
マネーロンダリングやテロ資金供与を防ぐための法律です。
義務:
- 口座開設時の本人確認(身分証明書の提示など)
- 一定額以上の取引時の確認
表:主な法律の比較
法律名 | 主な目的 | 対象範囲 | 保護内容 |
---|---|---|---|
預金保険制度 | 預金者の資産保護 | 銀行預金 | 1金融機関あたり1,000万円まで |
日本投資者保護基金 | 投資家の資産保護 | 証券会社 | 1証券会社あたり1,000万円まで |
金融サービス提供法 | 投資家保護(説明責任や損害賠償責任) | 個人・法人 | 重要事項説明義務、損害賠償責任 |
消費者契約法 | 消費者保護 | 一般個人 | 誤解を招く契約の取り消しが可能 |
金融商品取引法 | 投資家保護 | 一般投資家、特定投資家 | 適合性原則、書面交付義務 |
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