金融商品の税金は、ファイナンシャルプランナー試験でも重要なテーマの一つです。本記事では、利子所得や譲渡所得、配当所得など、株式や債券に関連する税金の基礎をわかりやすく解説します。また、課税方式や特定口座と一般口座の違い、損益通算の仕組みなど、試験に役立つポイントを簡潔にまとめました。
金融商品の税金の基本
金融商品から得られる利益に対する課税方法には、以下3種類あります。
課税方式 | 内容 |
---|---|
総合課税 | 所得を他の所得と合算して課税。確定申告が必要。 |
申告分離課税 | 金融商品の所得を他の所得と分離して課税。確定申告が必要。 |
源泉分離課税 | 利息や配当金を支払う段階で源泉徴収される。確定申告不要。 |
預貯金
預貯金の利子
- 利子所得に該当
- 源泉分離課税(20.315%)
→確定申告不要
債権(特定公社債)
特定公社債(国債、地方債、外国国債、外国地方債、公募公社債、上場公社債など)の利子については、利子所得が該当します。譲渡益と償還差益については、上場株式等の譲渡所得が該当します。
所得の種類 | 内容 | 税率 | 備考 |
---|---|---|---|
利子所得 | 債券の利子 | 20.315% | 申告分離課税(源泉徴収され確定申告不要とすることも可能) |
譲渡所得 | 債券の売却益 | 20.315% | 申告分離課税で確定申告必要 |
株式・投資信託
株式、投資信託から発生する損益には、配当金と譲渡損益があります。
上場株式の配当金等
以下いずれかを選択できる。
- 総合課税
- 申告分離課税
- 申告不要(源泉分離課税)
税率は通常、20.315%で、総合課税を選択した場合のみ、税額控除としての「配当控除」が認められます。
譲渡損益
株式・投資信託について、売却した際に譲渡益が発生すると、20.315%の税率で、原則、申告分離課税(確定申告が必要)となります。ほかの譲渡損益と合算されます(損益通算)。
特定口座と一般口座
証券会社には「特定口座」と「一般口座」があり、それぞれの特徴は以下の通りです。
口座の種類 | 特徴 | 確定申告 |
---|---|---|
特定口座(源泉徴収あり) | 証券会社が税金計算し源泉徴収。 | 不要 |
特定口座(源泉徴収なし) | 証券会社が税金計算するが源泉徴収しない。 | 必要 |
一般口座 | 利益を自分で計算し確定申告。 | 必要 |
NISA口座 | NISA口座で利益は非課税なため確定申告も不要 | 不要 |
損益通算
損益通算とは、異なる投資商品の利益と損失を相殺することで、税負担を軽減する制度です。申告分離課税を選択すると損益通算ができます。
- 対象:特定公社債、上場株式など。
- 注意:非上場株式や一部の特定商品は対象外。
NISAとは
NISA(少額投資非課税制度)は、NISA口座内で購入した株式や投資信託の利益が非課税になる制度です。日本では、投資に対する税金負担を軽減し、投資を促進する目的で導入されました。
旧制度
旧制度のNISAは3つの種類があります。
NISAの種類 | 購入可能商品 | 非課税枠 | 非課税期間 | 利用条件 |
---|---|---|---|---|
一般NISA | 上場株式、個別株式、投資信託 | 120万円/年 | 5年 | 18歳以上 |
つみたてNISA | 長期分散積立向け投資信託 | 40万円/年 | 20年 | 18歳以上 |
ジュニアNISA | 上場株式、個別株式、投資信託 | 80万円/年 | 5年 | 18歳未満 |
旧制度はもう覚えなくて良いかもしれません
2024年からの新NISA
新NISA制度では以下のような変更が加えられます。NISAでは利益は非課税ですが、NISA口座内で損失が出たとしても、譲渡益や配当金などと損益通算はできません。
新NISAの種類 | 購入可能商品 | 非課税枠 | 非課税期間 | 利用条件 |
---|---|---|---|---|
積立投資枠 | 長期分散積立向け投資信託 | 120万円/年 | 無期限 | 18歳以上 |
成長投資枠 | 上場株式、個別株式、投資信託 | 240万円/年 限度額1,200万円 | 無期限 | 18歳以上 |
合計(併用可能) | 上記の積立投資枠+成長投資枠 | 360万円/年 限度額1,800万円 | 無期限 | 18歳以上 |
主な変更点:
- 併用可能:積立投資枠と成長投資枠が同時に利用可能です。
- 非課税枠の拡大:年間非課税投資枠が最大360万円まで増加。
- 非課税期間の無期限化:保有している限り非課税が続きます。
- 簿価残高方式の導入:売却後も購入枠が復活します。
試験対策ポイント
- 所得の種類と税率を把握する。
- 特定口座と一般口座の違いを理解する。
- 損益通算の仕組みを覚えておく。
- NISAの内容を覚える
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