FP2級資格取得を目指している皆さん、今回は雇用保険に関する給付について詳しく掘り下げていきます。特に高齢者向けの介護休業給付と育児休業給付について解説します。これらの制度は、日常生活に雇用保険は「失業したときの給付」だけではありません。
働く人のライフステージに応じて、再就職・高年齢・育児・介護・学び直しを支えるさまざまな給付制度が用意されています。
この記事では、FP2級試験でもよく問われる「その他の給付」を、最新制度に基づいてわかりやすく整理します。
雇用保険の全体図
| 雇用保険 | 失業給付 | 求職者給付 | 失業後就職活動中の生活費として ①基本手当 ②高年齢求職者給付金 |
| 就職促進給付 | 早期の再就職を支援目的のお祝い金 ③再就職手当 | ||
| 教育訓練給付 | スキルアップ支援金 ④一般教育訓練・専門実践教育訓練給付金 | ||
| 雇用継続給付 | 高齢者向け所得低下しても働き続けるための支援 ⑤高年齢雇用継続給付 ⑥介護休業給付 | ||
| 育児休業給付 | 育児による休職中のサポート ⑦育児休業給付 | ||
基本手当に関する内容は、前の記事を参照ください。ここでは、頻出と思われる
- ④一般教育訓練・専門実践教育訓練給付金
- ⑤高年齢雇用継続給付
- ⑥介護休業給付
- ⑦育児休業給付
について、説明します。
教育訓練給付
働く人のスキルアップや再就職を支援する給付制度です。
講座の種類によって支給率と上限が異なります。
原則として、雇用保険の被保険者期間が3年以上(初めて受給する場合は1年以上)の被保険者が受給対象となります。
| 区分 | 支給内容 | 上限額 | 主な対象講座 |
|---|---|---|---|
| 特定一般教育訓練 | 教育訓練経費の40%を支給。資格取得や修了後1年以内の就職で50%まで支給。 | 上限20万円 (上乗せで25万円のケースあり) | 宅建、社労士、FP、簿記2級、TOEIC等 |
| 一般教育訓練 | 教育訓練経費の20%を支給。 | 上限10万円 | 簿記3級、MOS、PCスキル講座など |
その他、専門実践教育訓練についても、給付があります。
高年齢雇用継続給付
60歳以降も同じ会社で働き続け、賃金が60歳時点より下がった人を支援する制度です。
支給要件
- 60歳以上65歳未満の一般被保険者であること
- 60歳時点の賃金と比べて、現在の賃金が75%未満に低下していること
- 被保険者期間が5年以上であること
支給内容
- 賃金が64%未満まで下がった場合、下がった賃金の10%相当額を支給
- 支給期間は60歳到達日から65歳到達日まで
💡 ポイント
高年齢雇用継続給付は、「定年後も継続雇用されている人」が対象です。
高年齢再就職給付金
60歳以上65歳未満で離職後に再就職した人に対して支給される制度です。
支給要件
- 離職時に60歳以上65歳未満であること
- 基本手当の残日数が100日以上残っている状態で再就職すること
- 再就職先での賃金が、60歳時点の75%未満であること
支給内容
- 賃金が下がった割合に応じて、低下分の最大10%相当額を支給
- 支給期間は65歳に達するまで
💡 ポイント
高年齢雇用継続給付との違いは、「同一事業所で継続勤務」か「再就職」か、という点です。
育児休業給付
育児休業を取得した被保険者に対して支給される制度です。
支給要件
- 雇用保険の一般被保険者であること
- 育児休業開始日前の2年間に、賃金支払いのある月が通算12か月以上あること
支給内容
- 休業開始から180日まで:休業前賃金の67%
- 181日目以降:休業前賃金の50%
💡 ポイント
男性・女性いずれも対象で、休業を分割して取得することも可能です。
介護休業給付
家族の介護のために仕事を休む場合に支給される制度です。
支給要件
- 介護対象家族1人につき、通算93日まで休業可能
- 休業開始前2年間に、賃金支払いのある月が通算12か月以上あること
支給内容
- 休業前賃金の67%を支給
💡 ポイント
介護休業給付は「育児休業給付」と支給率が同じ(67%)ですが、期間(93日)で区別して覚えましょう。
過去問
雇用保険法に基づく育児休業給付および介護休業給付に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、記載されたもの以外の要件はすべて満たしているものとする。
1.一般被保険者や高年齢被保険者が、1歳に満たない子を養育するために休業する場合、育児休業給付金が支給される。
2.育児休業給付金に係る支給単位期間において、一般被保険者や高年齢被保険者に対して支払われた賃金額が、休業開始時賃金日額に支給日数を乗じて得た額の60%相当額以上である場合、当該支給単位期間について育児休業給付金は支給されない。
3.一般被保険者や高年齢被保険者が、一定の状態にある家族を介護するために休業する場合、同一の対象家族について、通算3回かつ93日の介護休業を限度とし、介護休業給付金が支給される。
4.一般被保険者や高年齢被保険者の父母および配偶者の父母は、介護休業給付金の支給対象となる家族に該当する。
日本 FP 協会 2級ファイナンシャル・プランニング技能検定学科試験 22年1月
最も「×不適切」なものを選ぶ問題です。
- 1歳未満の子を養育する場合に、育児休業給付金が支給されます。一般被保険者、高年齢被保険者という条件はありませんので、「〇適切」となります。
- 「※賃金が給付金の80%以上もらえている場合は給付されません」となりますので、問題文の60%相当額という部分が誤りで、「×不適切」となります。
- 93日と通算3回までとなりますので、「〇適切」です。
- 配偶者の父母も対象となりますので、「〇適切」です。
私の場合、2の60%という数字を覚えておらず、間違ってしまいました。

私の場合、2の60%という数字を覚えておらず、間違ってしまいました。
今回は、ここまでです。


コメント