このブログでは、リスク管理、生命保険の仕組みと契約、保険料の構成、配当金、告知義務、そして責任開始日など、試験で確実に点を取るための重要な分野を分かりやすく解説していきます。
保険料の仕組み
以下、3つの予定基礎率の上限によって、契約者が負担する保険料が変わります。
1.予定死亡率 | 低いと死亡する人が少なく、保険会社は保険金の支払いが減ります。結果として、死亡保険料は低くなります。一方、年金保険料が上がります。 |
2.予定利率 | 「予定利率が高い=運用がうまくいく」場合、保険会社は利益をより得ることとなります。結果として、契約者から見ると保険料が下がります。 |
3.予定事業費率 | 保険会社の事業を運営するための必要経費で、低いと、保険会社は経費が少なくなるため、契約者から見ると保険料が下がります。 |
理屈で考えれば、自ずと答えは見えてくるはずです
保険料の構成
保険料は、2つで構成されます。
・純保険料(死亡保険料+生存保険料)→ 「保険金」「給付金」として支払う部分
※予定死亡率+予定利率で計算
・付加保険料 → 保険会社の事業維持費用部分
※予定事業費率で計算
配当金
3つの剰余金がプラスになると、保険会社は配当金を契約者に払い戻すことができます。
・死差益(予定死亡率で算出した死亡者数より、実際の死亡者が少なかったとき)
・利差益(予定利率で算出した運用益より、運用収益が多かったとき)
・費差益(予定事業費率で算出した事業費より、実際の事業費が少なかったとき)
生命保険の契約の手続き
告知義務
・告知とは、保険契約の際、健康状態や職業等について保険会社に告げることです。保険を契約しようとする人は、保険会社から求めがあった場合には「告知義務」が生じます。
- 告知義務違反があった場合、告知義務違反を知った日から1ヶ月内であれば、保険会社は保険契約を解除できます
- 保険契約締結日から5年たっている場合や、保険募集人が告知を妨げたなど不誠実な対応があった場合は、契約を解除できません。
責任開始日
補償が開始される日を責任開始日と言います。以下の3つがそろう必要があります。
①保険の申し込み
②告知または医師の診察完了
③初回の保険料払い込みが完了
保険の申し込みは当たり前として、告知するってことは保険契約の意思があるということ。そして保険料を支払うことで責任開始が成立します。
保険証書の保険契約日は、責任開始日には影響しません。
必要保障額の計算
必要保障額は以下のように求めることができます。
必要保障額 = 支出総額(遺族に必要な生活資金等の総額) ー 収入総額(遺族の収入見込み)
支出総額 |
①末子が独立するまでの遺族生活費 (現在の生活費の70%) |
収入総額 | ①公的年金・配偶者の収入(公的遺族年金、死亡退職金等) ②保有金融資産(預貯金等) |
※必要保障額が最大となるのは、末子が誕生したとき
収入があるということを、忘れると余計な保険に入ることになりかねません(経験談・・・)
過去問
生命保険の 保険料等の一般的な仕組みに関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1.保険料は、大数の法則および収支相等の原則に基づき、予定死亡率、予定利率および予定事業費率の3つの予定基礎率を用いて算定される。
2.保険料は、将来の保険金・給付金等の支払い財源となる純保険料と、保険会社が保険契約を維持・管理していくために必要な経費等の財源となる付加保険料で構成される。
3.所定の利率による運用収益をあらかじめ見込んで保険料を割り引く際に使用する予定利率を低く設定した場合、新規契約の保険料は高くなる。
4. 保険会社が実際に要した事業費が、保険料を算定する際に見込んでいた事業費よりも多かった場合、費差益が生じる。
日本 FP 協会 2級ファイナンシャル・プランニング技能検定学科試験 22年9月
最も「×不適切」な選択肢を選ぶ問題
- 予定死亡率、予定利率、予定事業費率の3つの予定基礎率は、「○適切」です。
- 保険料は、純保険料(保険金・給付金)+付加保険料で構成されるので、「○適切」です。
- 運用利益が低いため、利益が期待できず、その分契約者の負担が大きくなります(保険料が高くなる)ので、「○適切」です。
- 実際の事業費が、予定より大きくなったということは「益」ではなく「損」なので、費差益は「×不適切」です。
今回は、ここまでです。
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