相続税は試験においてよく出題される重要なテーマです。本記事では、相続税の基本的な考え方、申告・納付の流れ、例外規定、延納や物納の制度について、最新情報を含めてわかりやすく解説します。ポイントをしっかり押さえておくことで、効率的に学習を進めることができます。
相続税の納税義務者と例外規定
相続税は、財産を受け取った相続人や受贈者に課されます。しかし、日本国外での相続や贈与には特例が適用される場合があります。
納税義務者の基本ルール
- 納税義務者: 基本的に、日本で財産を受け取った全ての相続人が対象。
- 例外:
- 被相続人が死亡前10年以内に日本に居住していない場合。
- 相続人も10年以内に日本に居住していない場合。
- 国籍に関わらず、国外財産の相続には課税されないケースも。
国際的な課税例外
例えば、日本に長く居住していない高齢者が海外で蓄えた資産を、同じく国外在住の子供に相続する場合、これは日本では課税されないことがあります。
状況 | 課税対象の有無 |
---|---|
被相続人が国外居住者 | 国内財産のみ課税 |
相続人が国外居住者 | 国内財産のみ課税 |
両者とも国外居住者 | 課税されない |
相続税の申告と納付の流れ
相続税は被相続人が死亡した後、一定の期間内に申告と納付が必要です。以下に、手続きの基本的な流れをまとめました。
申告と納付の期限
- 申告期限: 被相続人の死亡を知った翌日から 10ヶ月以内。
- 準確定申告(所得税): 4ヶ月以内。
- 納付期限: 相続税の申告期限と同じ。
申告の流れ
- 申告場所: 被相続人の死亡時の住所地を管轄する税務署。
- 申告が不要な場合:
- 課税価格が基礎控除額以下の場合。
- 基礎控除額 = 3,000万円 + (法定相続人の数 × 600万円)
- ただし、配偶者控除や特例を利用する場合は申告が必要。
- 課税価格が基礎控除額以下の場合。
申告要否 | 条件 |
---|---|
必要 | 課税価格が基礎控除額を超える場合 |
必要 | 配偶者控除や小規模宅地の特例を使用する場合 |
不要 | 課税価格が基礎控除額以下の場合 |
納付方法、延納、物納
相続税は原則、現金一括で納付する必要がありますが、資金不足の場合には「延納」や「物納」が認められることもあります。
延納
- 条件: 相続税額が10万円を超える場合。
- 申請期限: 申告期限(10ヶ月以内)までに延納申請書を提出。
- 担保の提供: 原則として必要。ただし、税額100万円以内かつ期間3年以内の場合は担保不要。
物納
- 対象: 相続税のみ。贈与税には適用されない。
- 納付対象財産: 相続税評価額で計算される財産。
- 上位資産(例:上場株式、不動産)から順に納付。
- 抵当権のある財産は物納不可。
物納が相続税のみ認められるのは、相続税は、必ずしも望んで発生するものではないのに対して、贈与税は望んで発生するので、ちゃんと税金を払いましょうという主旨です
相続税の取得費加算の特例
相続財産を相続後3年以内に売却する場合、相続税を取得費に加算できます。これにより、譲渡所得税を抑える効果があります。
取得費加算の特例の概要
- 目的: 相続財産の譲渡における譲渡所得税の軽減。
- 加算内容: 相続税の一部を譲渡資産の取得費に加算。
- 効果: 譲渡所得(売却益)が減少し、譲渡所得税の負担が軽減。
適用条件
以下の条件を満たす必要があります:
- 相続税を支払っていること
- 相続税が課税されていない場合、この特例は適用されません。
- 相続財産を相続開始日翌日から3年10ヶ月以内に売却していること
- 具体的には、相続税の申告期限である「10ヶ月」を含めた期間。
- 売却した財産が相続または遺贈で取得した財産であること
- 相続後に取得した財産や、他の理由で取得した財産は対象外です。
まとめ
相続税は、申告期限や例外規定、納付方法の選択肢など、試験にも実務にも重要なポイントが多いテーマです。特に、期限や延納・物納の条件を正確に押さえることで、得点に直結する知識を効率的に習得できます。
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