【3分で解説!FP2級】不動産~宅建業法と媒介契約のルール:超頻出ポイント

ファイナンシャルプランナー2級

不動産取引には、私たちを守るための多くのルールが定められています。本記事では、宅建業法や媒介契約に関する頻出ポイントを紹介します。

宅地建物取引業法

宅建業法の基本

宅建業法とは、「宅地建物取引業法」の略で、住宅用地や建物の売買・貸借を行う業者に関する法律です。この法律の目的は、取引を安全かつ公正に行うためのルールを定めることにあります。

宅建業者の許可

宅建業を行うためには、事務所の所在地に応じて都道府県知事または国土交通大臣の許可が必要です。具体的には、以下の通りです。

  • 都道府県知事の許可:1つの都道府県内で事業を行う場合
  • 国土交通大臣の許可:複数の都道府県に事業所がある場合

宅建士の役割

宅地建物取引士(宅建士)は、宅建業を行うために不可欠な資格です。事業所の従業員の5人に1人以上は宅建士でなければなりません。宅建士が行う独占業務には、以下のものがあります。

  • 重要事項説明契約前に物件の重要な情報を説明する
  • 重要事項説明書への記名・押印:説明した内容を記載し、署名する
  • 契約内容説明:契約内容を詳しく説明し、署名する

重要事項の説明は、「契約前」に行われるというのがポイントです。試験問題はこの辺をしれっと、ついてきます

また、契約書の「交付」は宅建士じゃなくても、誰でも可能です。

媒介契約の種類

媒介契約とは、不動産の売買や賃貸を仲介する際に結ぶ契約です。媒介契約には、以下の3種類があります。

  1. 一般媒介契約
    • 複数の業者に依頼可能
    • 自己発見取引(自分で見つけた取引)もOK
  2. 専任媒介契約
    • 複数の業者に依頼不可
    • 自己発見取引はOK
  3. 専属専任媒介契約
    • 複数の業者に依頼不可
    • 自己発見取引も不可

媒介契約の有効期間と報告義務

媒介契約には有効期間が定められており、一般媒介契約以外は最大3ヶ月です。3ヶ月を超えるとその部分は無効(3ヶ月とされます)。また、専任媒介契約と専属専任媒介契約には、以下の報告義務があります。

  • 業務処理状況の報告:定期的に依頼者に報告する
    • 専任媒介契約:2週間に1回
    • 専属専任媒介契約:1週間に1回
  • 指定流通機構(レインズ)への登録
    • 専任媒介契約:7日以内
    • 専属専任媒介契約:5日以内

まとめると以下の表となります。

報酬の限度額

宅建業者が依頼者から受け取る報酬には限度額が定められています。具体的な金額は取引内容によって異なりますが、以下のようなルールがあります。

  • 売買・交換の媒介:取引金額に応じて3〜5%
  • 賃貸の媒介貸主・借主双方から合計で1ヶ月分の賃料が限度
  • 代理の場合:媒介報酬の2倍

不動産の取引に関する法律

手付金とは

手付金は、不動産を購入する際に契約の保証として支払うお金です。例えば、「5000万円の土地を購入する場合、300万円の手付金を支払います」等。手付金には主に以下の役割があります。

  1. 解約手付: 買主が手付金を放棄することで契約を解除できます。例えば、300万円の手付金を払って契約した後、別の物件を購入したい場合、この手付金を放棄すれば契約解除が可能です。
  2. 倍額返還義務: 売主が契約を解除する場合、手付金の倍額を買主に返還する必要があります。例えば、300万円の手付金を受け取った後に売主が契約を解除する場合、売主は600万円を返す必要があります。
  3. キャンセルのタイミング: キャンセルできるタイミングは、売主が所有権の移転登記を済ませる前買主が代金の一部または全部を支払う前です。

また、宅建業者が売主で買主が一般消費者の場合、手付金は物件価格の2割を超えてはなりません。例えば、5000万円の物件の場合、手付金は最大1000万円です。

危険負担とは

危険負担とは、契約成立後に予期せぬ事故で物件が損壊した場合の責任についてです。

  1. 契約後引き渡し前: 例えば、12月1日に家が火事で焼失した場合、12月10日に引き渡し予定だったとしても買主は支払いを拒否できます。なぜなら、住める状態で引き渡されることが契約の目的だからです。
  2. 例外: 買主の責任で損壊した場合や当事者間の合意がある場合、買主は支払いを拒否できません。

契約不適合責任

契約不適合責任は、契約通りの物件が引き渡されなかった場合の責任です。

  1. 買主の権利:
    • 追加請求: 不足しているものや壊れているものの修理や交換を請求できます。
    • 代金減額請求: 品質や数量が契約に適合しない場合、代金の減額を請求できます。
    • 損害賠償請求: 不適合によって生じた損害について賠償を請求できます。
    • 解除権: 契約を解除し、支払った代金の返還を請求できます。
  2. 期間制限: 契約不適合を知った日から1年以内に請求しなければなりません。新築住宅の場合、引き渡しから10年間は瑕疵担保責任が適用されます。売主が不備を知りながら引き渡した場合は、1年以内でなくても、買主は不適合を理由に契約を解除できます。

債務不履行

債務不履行とは、契約内容が正当な理由なく履行されないことです。

  1. 履行遅滞: 履行が遅れている場合、損害賠償を請求できます。また、相当の期間を定めて催告し、その期間内に履行されなかった場合、契約を解除できます。
  2. 履行不能: 契約の履行が不可能な場合、損害賠償請求と即時契約解除が可能です。

履行遅滞、遅れている場合は「遅れているよ、いついつまでにやってね」と言わないとなりませんが、履行不能の場合は、言わなくても直ちに、契約解除ができます

過去問

宅地建物取引業法に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、買主は宅地建物取引業者ではないものとする。

1.宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地・建物の売買契約を締結したときは、当該買主に、遅滞なく、宅地建物取引士をして、宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項を記載した書面を交付して説明をさせなければならない。

2.宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地・建物の売買契約の締結に際して、売買代金の2割を超える額の手付を受領することができない。

3.宅地建物取引業者が、宅地・建物の貸借の媒介を行う場合に、貸主・借主の双方から受け取ることのできる報酬の合計額の上限は、賃料の2ヵ月分に相当する額である。

4.専任媒介契約の有効期間は、3ヵ月を超えることができず、これより長い期間を定めたときは、その契約は無効とされる。

日本 FP 協会 2級ファイナンシャル・プランニング技能検定学科試験 19年5月

最も「○適切」な選択肢を選ぶ問題

  1. 「宅地・建物の売買契約を締結したときは」とありますが、ここは「売買契約締結前」でなくてはなりません。したがって「×不適切」です。
  2. 買主が「宅地建物取引業者」ではない場合は、手付金は売買代金の2割までです。「○適切」です。
  3. 賃借~賃貸の場合は、貸主・借主双方から合計で1ヶ月分の賃料が限度ですので、「×不適切」です。
  4. 専任媒介契約の有効期限は3ヶ月までで、3ヶ月を超える場合は制限(3ヶ月)されます。解約自体は無効になりませんので、『×不適切』です。

不動産の売買契約に係る民法の規定に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、特約については考慮しないものとする。

1.買主が売主に解約手付を交付した場合、買主が契約の履行に着手するまでは、売主は受領した解約手付を返還して当該契約の解除をすることができる。

2.売主が種類または品質に関して契約の内容に適合しないことを知りながら、売買契約の目的物を買主に引き渡した場合、買主は、その不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しなければ、その不適合を理由として契約の解除をすることができない。

3.売買の目的物である建物が、売買契約締結後から引渡しまでの間に台風等の天災によって滅失した場合、買主は売買代金の支払いを拒むことができない。

4.売買契約締結後、買主の責めに帰さない事由により、当該契約の目的物の引渡債務の全部が履行不能となった場合、買主は履行の催告をすることなく、直ちに契約の解除をすることができる。

日本 FP 協会 2級ファイナンシャル・プランニング技能検定学科試験 22年1月

最も「○適切」な選択肢を選ぶ問題

  1. 「売主は受領した解約手付を返還して」→売主が契約解除する場合は倍額の返還が必要なので、「×不適切」です。
  2. 「売主が種類または品質に関して契約の内容に適合しないことを知りながら」のケースでは、買主は契約解除を行うことができます。「×不適切」です。
  3. 「危険負担」のことを指していて、買主は売買代金の支払いを拒むことができます。「×不適切」です。
  4. 「履行不能:契約の履行が不可能な場合、損害賠償請求と即時契約解除が可能です。」を指していますので、「○適切」です。

大前提は、買主が保護されます

今回は、ここまでです。

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